2月。暗い雪の降る早朝に出勤し、除雪作業に汗を流しました。その手当が給料に上乗せされ、そのうち2万円がお小遣いアップ分としてやってきました。
普通なら、少し贅沢なランチを楽しんだり、欲しかったものを買ったりするお金です。でも、今の私にはこのお金の使い道が最初から決まっていました。
47,000円の使い道——除雪手当が「24時間働く資産」に変わるまで
以前から持っていた銘柄を整理して作った27,000円。そこに、今回のお小遣いプラスα分の20,000円を合わせ、合計47,000円。
これを新たな運用資金として、「精鋭部隊」を組み直すことにしました。雪をかいた時間が、株という「24時間働く資産」に変わる瞬間です。
三菱重工(MHI)を選んだ理由と、攻めの「ナンピン」
この資金を投入するタイミングで、ひとつの大きなニュースが飛び込んできました。2月28日、アメリカ軍によるイラン攻撃。
このニュースを聞いた瞬間、自分の中で「連想ゲーム」が始まりました。 「有事になれば、防衛関連に注目が集まるのではないか?」
直接イラクに何かをするわけではなくても、世界が不安定になれば「盾を持つ企業」への期待が高まる——。そう考え、防衛産業の雄である三菱重工(MHI)を選びました。
さらに、私はここで一歩踏み込みました。 3月2日に5,092円で3株購入した後、翌3日に株価が一段と下がったタイミングを逃さず、4,955円で2株を追加。いわゆる「ナンピン(買い増し)」です。

保有している株の価格が下がった時に、さらに買い増しをして「平均取得単価」を下げる手法のこと。株価が回復した時に利益が出やすくなりますが、さらに下がると損失も膨らむため、慎重な判断が求められます。
これで手元の資金は、ほぼきれいに使い切りました。私の「除雪手当」はすべて、三菱重工という日本の防衛の要に託されたのです。
3月3日、画面の数字が緑(マイナス)になった日
しかし、相場は私の想像を超えていきました。 3月3日の終値は、前日比1,778円安。
中東情勢の緊迫化が市場全体を飲み込み、私のポートフォリオも半分近くがマイナス。まさに「全面安」の洗礼です。
「こういう日もあるか。」
正直な感想はそれだけでした。2025年の「トランプ関税」による歴史的な下げの時は、私はまだ株を始めておらず、どこか他人事でした。しかし今回の暴落は、私にとって人生で初めて体験する「自分のお金が削られる本当の暴落」でした。
「雰囲気で売られる」の正体を、初めて体で知った
不思議だったのは、業績が悪くなったわけでもない銘柄まで、一蓮托生で下がっていたことです。
せっかく「底を打った」と判断して買った任天堂も、中東情勢の煽りを受けて再びマイナスへ。これが投資の世界で言う「リスクオフ」の正体なのだと、身をもって知りました。
世界的な不安が高まった際に、投資家が株などのリスク資産を売り、現金などの安全な資産へ資金を移す動きのこと。良い株も悪い株もまとめて売られてしまうことがあります。
株をやっていなければ、中東のニュースは「遠い国の出来事」でした。でも今は、世界の動きが自分のスマホ画面の数字と直結している。「これが世の中の現実なんだ」ということを、数字を通じて初めてリアルに感じた一日でした。
それでも「静」を選んだ理由
数字が緑になってしまった画面を見ながら、私は「売却ボタン」を押しませんでした。
かつて純金ファンドでパニックになり、一番底で売ってしまった苦い経験が頭をよぎったからです。今回は違います。
下がった理由は、会社の価値が落ちたからではなく「世界情勢への不安」です。ならば、慌てて売る必要はない。資金を使い切り、これ以上の買い増しができない今、私にできる最善の策は、あえて動かない「静」を貫くことでした。
三菱重工や任天堂が、いつか再び光を放つ日を信じて。 嵐が過ぎ去るのをじっと待ちながら、今週の相場を見守りたいと思います。
暴落の洗礼を受けた一週間。でも、これも大切な経験。 還暦を過ぎてなお、世界と繋がっている実感が、私を少しだけ強くしてくれた気がします。
追記:
投資の話として「有事」や「地政学リスク」という言葉を使っていますが、その数字の裏側には、今この瞬間も戦火にさらされている人々がいる現実があります。
株を始めてから、世の中がいかに非情な理屈で動いているかを、数字を通じて突きつけられるようになりました。誰かの利益が誰かの不利益の上に成り立っていることも、理解しています。
それでも、世界が平和で、人々が穏やかに暮らせる土台があってこそ、健全な投資も成り立つはずです。理想論かもしれませんが、この混乱が一日も早く収束することを、一人の人間として、そして一人の投資家として、心から願っています。

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