「決算跨ぎって聞いたことありますか?」
私は株を始めたばかりの頃、YouTubeで「決算跨いでは持たない」という話を何度か聞いていました。でもその時は「なんでだろう?」と深く考えず、特に調べもしませんでした。その意味を体で理解することになったのが、2026年5月の決算シーズンでした。
集中投資への転換
GW明けの5/11からの週は、日本企業の決算発表が集中する週です。
それまでの私は教科書通りに分散投資を心がけ、10銘柄以上を保有していました。確かにマイナスが出ても大けがはしない。でもそれは同時に、大きく勝つことも難しいということでもあります。
そこで考えを変えました。少し資金を集中させよう。ではどこに入れるか。
毎日帰りの車の中で聴いている日経CNBCで名前が毎日のように出てくる銘柄。それが自然とキオクシアとフジクラになりました。メモリと光ケーブル。どちらも生成AIとデータセンター需要の恩恵を受ける半導体関連銘柄として、その時は極端な話どこでも値上がりする状態に見えていました。
高値であることへの不安はありましたが、上がり幅を考えると他の銘柄では難しい。キオクシアとフジクラにかけてみることにしました。
購入の経緯
フジクラを最初に購入したのは3/24。株式分割前で25,276円。楽天証券の「かぶピタっ」という金額指定購入で買ったので、1株未満の小数点での保有でした。
3日後の3/27にはキオクシアを1株19,253円で購入。
4月に入り株式分割が終わったフジクラを5,580円で追加購入。1株の値段が下がったこともあり、4月だけで合計10株以上買い増しました。
この状態で5/7時点のポートフォリオは、キオクシア+57%、フジクラ+25%、アドバンテスト+33%、東京エレクトロン+34%。キオクシアとフジクラの2銘柄だけで含み益は45,000円を超えていました。
フジクラショック
そして5月14日。フジクラの決算発表の日を迎えます。
発表は午後2時。仕事中です。終わった後に知ったのは「ストップ安」という言葉でした。
ストップ安とは? 一日に株価が動ける最大の下落幅に達した状態のことです。売りたい人が殺到しても取引が成立しにくくなります。
原因は業績が悪かったわけではありませんでした。来期の純利益予想が市場の期待を下回ったことで、大量の売りが発生したのです。
決算発表前日5/13の終値は7,855円。翌日のストップ安の終値は6,355円。1,500円余りの下げ。そこからフジクラの株価は下げ続け、5/20の終値は4,156円。わずか1週間で株価が半分近くになりました。YouTubeでは連日「フジクラショック」という言葉が飛び交いました。
損切りの実行
私はというと、決算発表前日の5/13に株価7,307円で10,000円だけ利確していました。そしてストップ安の翌週、連日の下げが続く中で5/18に5株を売却。5/19には取得金額から10%を切ったため、ルール通り全株売却としました。
気持ち的には「業績が悪いわけではなく、期待値を下回っただけ。すぐ回復するんじゃないか」という思いもありました。でもそれは何の根拠もない希望的観測です。
損切りは次への投資のために行う。これはテスタさんの動画で聞いた言葉です。持っておきたいという気持ちは置いておき、最小の損失で次へ進む。それを機械的に実行しました。
損切り後にフジクラはさらに下がり続け4,156円まで到達しました。損切りのルールを守ったことで、さらなる損失を回避できたことになります。
また、決算後に発表された中期経営計画も弱気な内容だったことが追加の売り材料となり、株価の下落に拍車がかかりました。これも損切りの判断を後押しした要因の一つです。
決算跨ぎの本質を自分なりに理解した
この経験を通じて、「決算跨ぎをしてはいけない」という言葉の意味をようやく自分なりに理解しました。
フジクラの株価が決算前に異常に上がっていたのは、業績への期待を見越して資金が流入していたからです。そして決算発表前に売り抜ける。これが「期待値の織り込み」という動きの正体です。
株価は業績に連動しているように見えて、実は「市場の期待値との比較」で動きます。PER(株価収益率)という指標も、将来への期待値を表したものです。業績がいくら良くても、市場の期待をわずかでも下回れば大きく売られる。これが決算跨ぎの怖さです。
初心者が陥りやすいのは「業績がいいから株価が上がっている」という勘違いです。私もそうでした。決算発表があればさらに上がると思っていた。株が上がり続けると「自分は株が得意なんじゃないか」という錯覚さえ起きます。
会社によってクセもあります。いつも保守的な予想を出して後から上方修正する会社、強気な数字を出して下方修正する会社。そのクセを把握しておくことも、決算跨ぎを判断する材料になると感じました。
キオクシアの明暗
同じ半導体関連でも、来期予想一つで株価は真逆の動きをする。 これがもう一つの大きな学びでした。
フジクラのストップ安翌日の5/15、市場が閉まった後の15:30にキオクシアが決算発表。
2026年3月期の業績は大幅増益。そして来期第1四半期の予想が前四半期比で営業利益2倍以上というフジクラとは真逆の強気な内容でした。
翌週5/18の月曜日はストップ高から始まり、その後も続伸。出来高が2兆円を超える日もあり、市場の注目を集めています。
同じ週に、同じ半導体関連銘柄で、来期予想が弱ければストップ安、強ければストップ高という真逆の動きを目の当たりにしました。
キオクシアを見る上で押さえておくべき指標
キオクシアは半導体メモリ銘柄として、以下の指標が株価に大きく影響します。
- エヌビディア(AI需要の象徴)
- NASDAQ・SOX指数(米国半導体市場全体の動向)
- サンディスク(協業パートナー)
- SKハイニクス・サムスン(直接競合)
- TSMC関連ニュース(半導体製造全体への影響)
イランをめぐる原油価格(WTI)などの地政学リスクも注目されますが、半導体銘柄への直接的な影響は限定的で、やはりエヌビディアやTSMCに関するニュースの方が大きく反応します。アメリカ市場が閉まった朝方にこれらの数字を確認する習慣が、その日の値動きを読む上で重要です。
まとめ
決算跨ぎで学んだことを整理するとこうなります。
- 決算前の株価上昇は「期待値の織り込み」であり、業績の良さとは別物
- 市場の期待を下回ると業績が良くても大きく売られる
- 損切りルールは感情に左右されず機械的に実行することが大切
- 同じ業界でも来期予想の強弱で株価は真逆に動く
- 会社ごとの予想の出し方のクセを把握することも重要
「決算跨ぎをしてはいけない」という言葉の意味は、株を保有して痛い目を見て初めて腑に落ちました。30万円という小さな元手でこれだけのことを体験できたのは、今となっては授業料として安かったと思っています。

コメント