今回は、株の話から少し離れて昭和生まれの還暦世代が直面するであろうお話をしたいと思います。当然私自身の体験をもとにシローとAIにゃんの会話形式でお伝えしていきます。人それぞれいろいろな課題があると思いますが、両親の介護にまつわる内容です。直接介護の内容ではなく付随する内容として、家の片付け問題、そして私がいま行っていることが、田んぼの隣にある畑の話です。もしかしたら同じ問題に向き合っている人がいるかもしれないし、これからそれをやろうとしている人がいるかもしれないと思い、ブログの記事として書くことにしました。
シロー:63歳・製造業ベテラン・週末は実家の農地でプラスチック回収に奮闘中
AIにゃん:データと現実をつなぐAIアシスタント
プロローグ──毎週土曜日の朝
シロー「今日も始まった。防草シートの破片拾い。どこまでやっても終わらん。」



「シローさん、もう何週続いていますか?」



「去年のGW明けから。もう1年になるかな。弟と妻と3人で、毎週土日の午前中だけやっているけど、それでも終わりが見えない。」



「それは実は、日本全国で同じことが起きている問題の、ほんの一片なんですよ。」
第1章:農地プラスチックって何が問題なの?



「防草シートとかマルチフィルムって、昔は便利な農業資材として普及したんだよな。僕がプラスチック製造の仕事に就いた頃はもう全盛期だった。」



「そうですね。高度経済成長期からバブル期にかけて、農業用プラスチック資材は一気に普及しました。雑草防止、保温、収量アップと、農家にとっては革命的な資材でした。」



「ところがそれが今、土の中に残っている。紫外線で劣化して、細かくなって、手では取り切れない状態になっている。」



「ここが問題の核心です。農林水産省のデータによると、農業由来の廃プラスチックの排出量は年間約12万トン(2022年)。しかもこれは『適切に廃棄された分』だけの数字です。土の中に残留しているものは統計に出てきません。」



「そう。見えていない分が問題なんよ。畑に行けばすぐわかる。色がついているから土とは明らかに違う。大きいものはまだいい。厄介なのは細かくなったやつ。」



「その細かくなったものが、まさにマイクロプラスチックになっていく過程です。5ミリ以下になると、回収はほぼ不可能になります。」
第2章:「小さくすれば解決」は本当か?──生分解性プラの誤解



「生分解性プラスチックって、一時期すごく話題になったよな。これで解決、みたいな雰囲気があった。」



「ありましたね。土の中で分解されるから廃棄の手間がいらない、という触れ込みでした。」



「でも今になって思うと、あれは誤魔化しだったんじゃないかと。大きいから目立つ、なら小さくすればいいという発想でしかない。実際に畑にいると、小さくなっているから終わりが見えないんよ。大きければ回収も何倍も早い。」



「鋭い指摘です。生分解性マルチの普及率は農業用マルチフィルム全体の4〜6%程度(農業用生分解性資材普及会調査)にとどまっています。しかも石油由来の素材は、たとえ細かくなっても炭素鎖が完全に分解されないという問題が残ります。」



「海のプラスチック問題も同じだよな。魚が食べて、その魚を人間が食べる。食物連鎖の話だから、農地の土の中に残るのと根本は同じ話だと思う。」



「その通りです。農地の土→河川→海洋という流れがあるので、農地のプラスチック問題は海洋汚染の『上流』にある問題とも言えます。」
第3章:数字で見る「見えない問題」



「ここで少し数字を整理しましょう。」
- 年間排出量:約12万トン(農林水産省、2022年)
ただし「適切に廃棄された分」のみ。土中残留分は統計外。
- 年間総排出量:769万トン(プラスチック循環利用協会、2023年)
- 有効利用率:89%
- ※残り11%=約84万トンが未処理・埋立等
- 新規判明:年間134件・4.9万トン(環境省、令和4年度)
- 残存量:1,013万トン・2,855件(同)
- ※これは「発覚した分」のみ。実態はさらに多いとみられる。
(出所:プラスチック循環利用協会)
- 1960年:55万トン
- 1970年:513万トン(10年で9倍以上)
- 1990年:1,263万トン
- 2000年:1,445万トン(ピーク)
- 2023年:約950万トン



「高度経済成長期に9倍になったのか。その頃に農地に敷かれた防草シートが、今でも土の中にあるんよ。」



「そうです。50〜60年前に農地に入ったプラスチックが、今もそこにある。これが現実です。日本が輸入した原油からせっせとプラスチックを生産し続けた結果が、今、農地の土の中に眠っています。」
第4章:素人がやっている現実の作業



「毎週やっていて思うのは、とにかく目に見えるところから手を付けるしかないということ。色がついているから土とは違うとすぐわかる。大きいものを先に取る。」



「それは実は、研究者が言う最も合理的なアプローチと同じです。マイクロプラスチックになる前の大きいうちに回収することが、唯一現実的な対策とされています。」



「ただ一人でやっていたら絶対に終わらない。弟と妻の3人で分担している。弟が雑草の管理、妻が家の片付けのサポート、僕がプラ回収。役割が自然に分かれた。」



「その分担の仕方、効率的ですね。」



「いちおう5年を目標にしている。完了するかどうかはわからんけど、少しでも前に進めることを目標にしている。完全にはできなくても、やり続けることに意味があると思っている。」
第5章:同じ課題を抱えているあなたへ



「僕みたいに、実家の農地にプラスチックが残っていて困っている人、全国にいると思う。農家でも林業の人でもなく、ただの素人が引き継いでしまった農地をどうするか。」



「農地の管理者が高齢化・不在化している日本では、同じ問題を抱えている人は確実にいます。しかも統計に出てこない分が多いからこそ、現場の実態を持っている人の声が一番価値を持ちます。」



「研究者や農機具メーカーの人が、この問題に取り組んでいるなら、現場がどうなっているかという話ならできる。完璧な回収方法は持っていないけど、何年もやってきた体感は持っている。」



「それが一番重要な情報です。農機具メーカーが農地プラスチック回収の技術開発を進めるとき、現場の実態データが最も必要とされています。」



「同じように悩んでいる人がいたら、一緒に考えたい。どうやって効率よく回収するか、どんな道具が使えるか。素人なりの経験でよければ、話せることはある。」
エピローグ



「シローさんが毎週やっていることは、統計に出てこない日本の農地問題の最前線です。完璧じゃなくていい。やり続けることに意味があります。」



「大げさやな。ただのプラ拾いやけど。」



「『ただのプラ拾い』を毎週1年続けている人間が、日本に何人いると思いますか?」



「……そう言われると、少ないかもな。」



「少ないからこそ、話す価値があります。」
おわりに
今回はプラスチック問題を中心にお伝えしましたが、実は畑にはもう一つ課題があります。長年放置された樹木の問題です。伐採・伐根して更地にするという目標はありますが、素人にとってこれもなかなか手強い作業です。現状については機会があれば改めてお伝えしたいと思います。次回は写真も交えて、現場の様子をそのままお見せできればと考えています。
同じような状況に直面している方、あるいは農地プラスチック問題に関心をお持ちの研究者・農機具メーカーの方がいらっしゃれば、ぜひコメントや情報提供をいただけると嬉しいです。一人では解決できない問題も、知恵を持ち寄れば前に進めることがあると思っています。
| データ | 出所 | 年度 |
|---|---|---|
| 農業由来廃プラ排出量 約12万トン | 農林水産省 | 2022年 |
| 国内廃プラ総排出量 769万トン | 一般社団法人プラスチック循環利用協会 | 2023年 |
| 不法投棄新規判明 134件・4.9万トン | 環境省 産業廃棄物の不法投棄等の状況 | 令和4年度 |
| 不法投棄残存量 1,013万トン | 環境省 産業廃棄物の不法投棄等の状況 | 令和4年度末 |
| プラスチック国内生産量推移 | プラスチック循環利用協会 | 1960〜2023年 |
| 生分解性マルチ普及率 4〜6% | 農業用生分解性資材普及会 | 2018年 |
【編集後記】 この記事はブログ運営者の実体験をもとに作成しています。同じ課題を抱えている農地所有者、研究者、農機具メーカーの方からのコメント・情報提供をお待ちしています。


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